結婚・出産・育児を機にハラスメント職場を辞めたいあなたへ
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結婚・出産・育児でハラスメントを受けたら、辞める前に何をする?
辞めるかどうかを決める前に、①言動を記録し、②会社の相談窓口か都道府県労働局の雇用環境・均等部(室)に相談し、③辞める場合に受けられる給付を確認します。 妊娠・出産・育児休業などを理由とする不利益な扱いは法律で禁止されており、こうしたハラスメントを防ぐ措置は事業主の義務とされています。辞めると決めた後も、退職の時期によって受けられる給付が変わるため、順番が大切です。
- 記録する:発言の日時、場所、相手、言われた内容、同席者、その後の業務への影響を、その日のうちにメモする。メールやチャットは画面を保存する。証拠の残し方はパワハラ証拠の取り方が参考になります。
- 相談する:会社の相談窓口や人事に伝える。対応されなければ労働局の雇用環境・均等部(室)へ。
- 給付を確認する:辞める場合、出産手当金、失業給付の受給期間延長などの条件を退職日を決める前に確かめる。
- 辞めるか、続けるかを決める:配置転換や時短勤務など、辞めない選択肢と並べて判断する。
これはマタハラ?法律で禁止されている扱い
結婚・妊娠・出産・育児に関する扱いのうち、次のものは法律で禁止されています。
- 結婚・妊娠・出産を退職理由とする定め:女性労働者が婚姻・妊娠・出産したことを退職理由として予定する定めをしてはならない(男女雇用機会均等法9条1項)。
- 結婚を理由とする解雇:女性労働者が婚姻したことを理由とする解雇の禁止(同9条2項)。
- 妊娠・出産を理由とする不利益な取扱い:妊娠・出産、産前産後休業の請求や取得などを理由とする解雇その他不利益な取扱いの禁止(同9条3項)。
- 妊娠中・産後1年以内の解雇:無効とされ、事業主が妊娠・出産等を理由とする解雇でないことを証明した場合に限り例外となります(同9条4項)。
- 育休などの申出・取得を理由とする不利益な取扱い:育児休業の申出や取得を理由とする解雇その他不利益な取扱いの禁止(育児・介護休業法10条)。
上司や同僚の言動で働きにくくされている場合(「妊娠するなら辞めて」「育休を取るなら評価は下げる」「時短の人に仕事は任せない」など)は、マタハラ・育休ハラにあたる可能性があります。男女雇用機会均等法と育児・介護休業法は、こうした言動を防ぐための相談体制の整備などを事業主に義務づけています(妊娠・出産等に関する言動は男女雇用機会均等法15条、育休などの制度利用に関する言動は育児・介護休業法25条)。
公務員は、均等法9条と育介法10条・25条が適用されず(均等法38条、育介法61条・61条の2)、地方公務員の育児休業等に関する法律などが別に適用されます。教員は教員の結婚・出産・育児と退職も参考にしてください。
辞める前に確認したい産休・育休・時短の制度
ハラスメントの相手から離れることが目的なら、制度を使って距離を取れる場合があります。
| 制度 | 内容 | 根拠 |
|---|---|---|
| 産前休業 | 出産予定日の6週間前(双子以上は14週間前)から、請求すれば休める | 労働基準法65条 |
| 産後休業 | 産後8週間は就業させてはならない(6週間経過後、本人が請求し医師が認めた業務を除く) | 同65条2項 |
| 軽易な業務への転換 | 妊娠中に請求すれば、軽い業務に変えてもらえる | 同65条3項 |
| 育児休業 | 原則として子が1歳になるまで、申し出て休業できる | 育児・介護休業法5条 |
| 短時間勤務 | 3歳未満の子を育てる労働者は、申し出により所定労働時間を短くできる | 同23条 |
| 子の看護等休暇 | 小学校3年生修了までの子を育てる労働者は年5日(子が2人以上なら10日) | 同16条の2 |
雇用形態や勤続期間によって対象外となる場合や、会社独自の上乗せがある場合もあるため、就業規則と人事に確認します。
社内外の相談先
| 相談先 | 相談できること | 使いどころ |
|---|---|---|
| 会社の相談窓口・人事 | 事実の確認、配置や業務の見直し | 最初に伝える先。伝えた日時と回答を記録する |
| 都道府県労働局 雇用環境・均等部(室) | マタハラ・育休ハラ、不利益な取扱い | 会社が対応しないとき(厚生労働省の案内) |
| 総合労働相談コーナー | 労働問題全般。予約不要・無料 | どこに相談すべきか分からないとき |
| 労働組合・弁護士 | 会社との交渉、慰謝料などの請求 | 金銭の請求や退職条件の交渉が必要なとき |
厚生労働省は、会社に相談しても対応してもらえない場合は、都道府県労働局の雇用環境・均等部(室)に相談するよう案内しています。労働局には、会社との間に入って解決を促す助言・指導や調停の仕組みもあります。
辞めない選択肢
退職は、働き続けるための手段を試してからでも遅くない場合があります。
- 配置転換や担当替えを申し出る:ハラスメントの相手と離れられるか、人事に希望を出す。
- 短時間勤務や子の看護等休暇を使う:前の表の制度を、上司ではなく人事に書面で申請する。
- 休業を延ばす・休職する:心身の不調があれば、医師の診断を受けて就業規則の休職制度を確認する。
- 期限を決めて様子を見る:「相談から1か月で改善がなければ転職活動を始める」など、編集部の目安として期限を区切ると、我慢が長引くのを避けやすくなります。
辞める場合に確認したい給付
退職日を決める前に、次の3つを確認します。退職のタイミングによって、受けられるかどうかが変わります。
- 出産手当金(健康保険):退職日(資格喪失日の前日)まで継続して1年以上被保険者(任意継続・共済組合の期間を除く)で、退職日(資格喪失日の前日)に出産手当金を受けているか受けられる状態であれば、退職後も引き続き受けられる規定があります(健康保険法104条)。加入している健康保険に、自分が当てはまるかを確認します。
- 失業給付の受給期間延長:失業給付(基本手当)は、すぐに働ける状態で求職していることが条件で、妊娠・出産・育児ですぐに就職できない間は受けられません。受給できる期間は原則として離職の翌日から1年ですが、妊娠・出産・育児などで引き続き30日以上働けないときは、延長できる期間は最長3年です(ハローワーク「基本手当について」)。申請先は住所地のハローワークです。
- 離職理由の扱い:ハラスメントが理由の離職は、特定受給資格者にあたる場合があります。ハローワークの基準では、会社が妊娠・出産・育児休業などに関する言動による就業環境の悪化を把握しながら措置を講じなかった場合や、会社から退職を勧められた場合などが含まれます(ハローワーク「特定受給資格者及び特定理由離職者の範囲」)。
退職後の手続の流れは失業保険を受給する流れで確認できます。
家族の事情はどこまで伝える?
退職の理由として会社に伝える家族の事情は、手続に必要な範囲で足ります。 期間の定めのない雇用では、退職の申入れに理由の説明は要件とされていません(民法627条1項)。出産予定日や子どもの病気、家族の介護体制などを詳しく話す必要はありません。一方、ハラスメントを理由に辞める場合は、その事実を退職理由として書面に残しておくと、離職票の離職理由を確認するときに役立ちます。
伝え方の例(編集部作成):
一身上の都合により、〇年〇月〇日付で退職いたします。 (ハラスメントが理由の場合)〇月以降、妊娠・育児に関する発言により就業の継続が難しくなったため、〇年〇月〇日付で退職いたします。
離職票に書かれた離職理由が自分の認識と違うときは、ハローワークで手続をする際にその旨を伝え、記録を見せて相談します。
育休からの復帰が不安なときの備え
復帰後の扱いが不安な場合は、復帰前に次の点を人事に書面で確認しておきます。
- 復帰後の所属、業務内容、勤務時間(短時間勤務を使うかどうか)
- 評価や賞与の扱い(育休の取得を理由とする不利益な取扱いは育児・介護休業法10条で禁止)
- 保育園の送迎に合わせた始業・終業時刻、残業の有無
- 子どもが熱を出したときの休み方(子の看護等休暇の使い方)
確認した内容と違う扱いを受けたら、その時点で記録し、相談先に伝えます。復帰そのものが怖い場合の整理は復職・復帰が怖いときの退職整理で扱っています。
妊娠中・育休中に退職代行を使うなら
直接やり取りするのがつらい場合は、退職代行を使う方法もあります。結婚・出産・育児が絡む退職では、何を任せたいかで形態を選びます。
- 退職の意思を伝えるだけでよい:民間型も候補。ただし退職日や有給の交渉はできない。
- 産休・育休中の退職日の調整や、有給の消化を交渉したい:労働組合型か弁護士型。
- ハラスメントの慰謝料や未払い賃金を請求したい、解雇の有効性を争いたい:弁護士型。
依頼するときは、妊娠中・育休中であること、書類(離職票・源泉徴収票・健康保険の資格喪失の書類)の送付先、会社から本人に連絡してほしくない理由を伝えます。
参考にした公的情報
本記事では、制度・法令に関わる説明について以下の一次情報を参照しています。個別の判断が必要な場合は、各窓口または専門家へ確認してください。
- 男女雇用機会均等法9条 婚姻・妊娠・出産等を理由とする不利益取扱いの禁止、妊娠中・産後1年以内の解雇の無効。
- 育児・介護休業法5条・10条・16条の2・23条・25条 育児休業、不利益取扱いの禁止、子の看護等休暇、短時間勤務、ハラスメント防止措置。
- ハローワーク:特定受給資格者及び特定理由離職者の範囲 ハラスメントや退職勧奨による離職の扱い。
弁護士型
退職の連絡に加え、未払い賃金の請求や損害賠償への対応を相談。依頼するプランと受任範囲を確認します。
労働組合型
組合による団体交渉を相談。加入費用と交渉担当を確認します。提携型はサービス会社と組合の役割も確認します。
民間型
退職意思の伝達を依頼。法律上の交渉が必要なら、弁護士や労働組合への相談を検討します。
よくある質問
Q.妊娠を報告したら「辞めてもらうしかない」と言われました。従う必要はありますか?
Q.育休中に退職を決めてもかまいませんか?
Q.マタハラが原因で辞めると、失業給付で不利になりませんか?
Q.夫が育休を取ったことで嫌がらせを受けています。これも同じ扱いですか?
まとめ
辞めるかどうかを決める前に、言動を記録し、会社の窓口か都道府県労働局の雇用環境・均等部(室)に相談します。妊娠・出産・育休を理由とする不利益な扱いは法律で禁止されています。辞める場合は、失業給付の受給期間延長や出産手当金など、退職の時期で変わる給付を先に確認しましょう。
GUIDE 01 / ハラスメントの記録・相談
この記事のテーマ
次の一手
自分で伝えられない場合の選択肢
紹介する順番には、提携先(広告)を優先する場合があります。対応範囲と必要な手続きを確認して選びます。編集方針
弁護士型
フォーゲル綜合法律事務所
料金目安
22,000円〜
ライト22,000円、スタンダード25,000円、あんしんプラス55,000円(税込)。ライトは引継ぎ連絡を本人が行う。出張・裁判等は別途相談。
- 対応範囲
- 弁護士による退職通知・必要書類の請求。ライトでは会社からの連絡を60日間対応。
- 後払い
- あり(審査あり)。2回分割も案内。
弁護士型
退職110番
料金目安
43,800円〜
基本43,800円(税込・内容証明郵便込み)。金銭回収の報酬20%、労働審判25%、裁判30%(各税別)。審判・裁判は期日ごと2万円(税別)の記載あり。
- 対応範囲
- 有給取得、未払金請求、社宅・借入金返済等の交渉。個別費用は見積もり。
- 後払い
- 公式で要確認
2026-10-09に確認した掲載データに基づきます。料金・追加費用・税の扱い・利用条件は各社で異なります。すべての相談先を見る →
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