退職届・退職願は撤回できる?承諾前後の違いと伝え方の文例
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退職届を出した後でも撤回できる?
撤回できるかは「辞職の通知」か「合意退職の申込み」か、その意思表示がどこまで進んでいるかで変わります。 まず提出した書面の控えと、メール・面談でのやり取りを確認します。
| 提出・連絡の状況 | 原則的な扱い | すぐすること |
|---|---|---|
| 合意退職を申し込んだが、会社はまだ承諾していない | 原則として撤回可能 | 撤回の意思を速やかに通知する |
| 合意退職が成立した | 一方的には撤回できず、会社の同意が必要 | 退職を取りやめたいと申し入れる |
| 一方的な辞職の通知が会社に届いた | 退職日が先でも原則として会社の同意が必要 | 撤回への同意を依頼する |
| 辞職の通知がまだ会社に届いていない | 到達前なら撤回の余地がある | 元の通知より先に撤回が届くよう、直ちに連絡する |
| 錯誤・詐欺・強迫等が疑われる | 単なる撤回とは別に、取消しの要件を検討 | 証拠を保管し、専門家へ相談する |
自分のケースでは、何を確かめる?
次の表は、相談先に持っていく情報を整理するための目安です。「願」「届」の表題より、本文と提出時のやり取りを優先してください。
| 自分の状況 | 判断の分かれ目 | 今すること |
|---|---|---|
| 「退職願」を一般の上司へ提出。返答は「人事に渡す」だけ | 合意退職の申込みなら未承諾の可能性。ただし上司に承諾権限がないか確認する | 上司と人事へ撤回を通知し、承諾の有無・日時・担当者の回答を求める |
| 「退職願」を人事責任者へ提出し「その日で受理する」と言われた | 単なる預かりか、権限を持つ人による承諾か。辞令がなくても合意済みの可能性 | 受理時の言葉と権限を確認し、合意済みなら撤回への同意を依頼する |
| 「退職届」で「〇日で退職します」と確定的に通知し、会社に届いた | 辞職なら承諾を待たず効力が生じる。退職日前というだけでは自由に撤回できない | 会社へ撤回への同意を求める。単なる相談だった事情があれば記録も示す |
| 郵送した辞職通知がまだ届いていない | 元の通知と撤回通知のどちらが先に会社へ到達したか | 直ちに電話・メール等で撤回を伝え、受信確認と時刻を残す |
| 「出さなければ危害を加える」などと脅されて署名した | 強迫による取消しの問題。受理・承諾後でも検討対象になり得る | 面談記録・発言・録音を保存して弁護士等へ相談。表だけで該当すると断定しない |
| 転職先が決まったと思い込んで提出した | 重要な錯誤か、単なる後日の事情変更か。その事情を会社に示したかも重要 | 提出時点で何を信じ、会社に何を伝えたかを時系列にする |
| 引き止めてもらうつもりで、本心では辞める気がなかった | 本心でないだけでは無効にならない。会社がその真意を知っていた/知り得たか | 会社に分かる形で何を伝えていたかを記録し、93条の適用を相談する |
厚生労働省の退職願の撤回Q&Aは、辞職では会社への到達後、合意退職では承諾後に、自由に撤回できなくなると説明しています。「提出から14日間は取り消せる」という制度ではありません。
退職願なら撤回できて、退職届ならできない?
書類の名前だけで線を引くことはできません。 「退職をお願いします」という合意退職の申込みなのか、「〇日で退職します」という辞職なのかを、本文と会話の経緯から確認します。
例えば表題が「退職願」でも、使用者の承諾の有無にかかわらず辞める意思を伝えていたなら、辞職の問題になり得ます。反対に、退職届という表題でも日程の相談や承諾を前提にしていた事情があれば、文面だけで結論を出せません。
厚生労働省の労働者向け解説も、表題だけでなく記載内容・当事者の言動を確認する考え方を示しています。自分の希望に合わせて「これは願だから未確定」と読み替えず、提出当時のやり取りをそのまま残しましょう。
会社の「承諾」はどこで確認する?
人事が処理を終えたかより、権限のある人がいつどのように承諾したかを確認します。 承諾の意思表示の到達が合意成立の基準ですが、何が承諾に当たるかは個別のやり取りによります。
確認したいのは次の点です。
- 提出先の上司は、退職を承認する権限を持っていたか。
- 面談で「その日で承認する」などの返答があったか。
- 退職承認メール・辞令・人事からの通知を受けたか。
- 会社が「承諾済み」と主張する日時・方法と、自分の認識が一致するか。
「正式な紙の辞令が届いていないから、まだ撤回できる」とは限りません。厚生労働省の撤回Q&Aは、承諾権限を持つ人への到達も重要な点として挙げています。意思表示の到達の基本は民法97条です。
裁判例から分かる「受理」と「承諾」の違い
大隈鉄工所事件(最高裁第三小法廷・1987年9月18日判決、昭和57年(オ)第327号)では、人事部長が退職願を受理した後の撤回が争われました。全国労働基準関係団体連合会の判例資料で事件番号・判決日・判決理由を確認しています。
最高裁は、就業規則等に特段の定めがなければ、承諾に辞令交付など決まった形式が必要とは限らないとしました。その事実関係で人事部長に退職承認の権限があれば、受理を即時の承諾と解し得るとして、原判決の一部を破棄し差し戻しています。
「人事部長に渡せば常に撤回不可」という判決ではありません。 読者が確認したいのは、提出相手の実際の権限、受け取った際の応答、就業規則の手続きです。肩書や「受理済み」という一言だけで自分の結論を出さないでください。
撤回したいときは、どう伝える?
今日中に口頭でも意思を伝え、続けてメールや書面で記録を残します。 人事の処理状況を調べている間に時間を使い切るより、撤回したい意思を明確に知らせることを優先します。
- 元の書面、提出日時、提出先、会社の回答を保存する。
- 上司と人事へ、退職を取りやめて勤務を続けたいと伝える。
- 下の文例を自分の状況に合わせて送り、受信確認を求める。
- 勤務予定・退職処理・貸与品等について、今後の扱いを確認する。
承諾前の退職願は、どんな文面で撤回する?
以下は合意退職の申込みを撤回するための編集部作成例です。既に合意が成立している場合に、このメールだけで覆せるわけではありません。
件名:〇月〇日提出の退職願の撤回について
〇〇様
〇〇部の〇〇です。〇月〇日に提出した、〇月〇日付の退職をお願いする申込みを撤回いたします。
私は引き続き勤務する意思があります。
現時点で会社からの承諾は受けていないと認識しています。認識に相違がある場合は、承諾の日時・方法・ご担当者をお知らせください。
本メールの受信をご確認いただけますと幸いです。
承諾後・退職届の到達後は、どう頼む?
撤回への同意をお願いする文面にします。理由は事実に沿って簡潔に書き、復職や継続勤務の条件は別に確認します。
件名:退職の取りやめに関するご相談
〇〇様
〇〇部の〇〇です。〇月〇日付で退職する旨をお伝えしましたが、〇〇の事情により、退職を取りやめて勤務を継続したいと考えています。
退職の意思表示の撤回について、ご同意いただけないでしょうか。
ご同意いただける場合は、退職予定の取消しと、今後の勤務の取扱いをメールで確認させてください。
脅されて書いた・重要な勘違いがあった場合は?
単なる気持ちの変化と、意思表示に問題がある場合を分けます。 民法95条は一定の重要な錯誤、96条は詐欺・強迫による意思表示の取消しを定めています。
錯誤では、その勘違いの重要性、事情を相手に示していたか、重大な過失があるかなどが問題になります。強迫でも「上司の口調が強かった」という一点だけで取消しを断定できません。何を言われ、なぜ提出し、どの選択ができなかったのかを確認する必要があります。
広島県の労働相談Q&Aも、強迫に当たる強要があった場合の取消しを説明しています。本文例を強引に当てはめるより、面談の日時・発言、メール、録音など手元にある資料を保存し、弁護士や労働相談窓口へ見せてください。
根拠:民法95条・96条。この記事は、特定の言動が錯誤・強迫に該当すると判定するものではありません。
錯誤・詐欺・強迫・心裡留保は、何が違う?
2026年10月9日にe-Govの民法条文を取得して、次の内容を確認しました。以下の場面は編集部の説明例であり、裁判で認められた事例という意味ではありません。
| 条文 | 条文の要点 | 退職の相談で整理すること |
|---|---|---|
| 95条・錯誤 | 法律行為の目的・取引上の社会通念に照らして重要な錯誤は取消しの対象。基礎事情の錯誤は、その事情が行為の基礎であることを表示していたことが必要 | 誤認した内容、提出との関係、会社へ伝えた内容を確認。重大な過失があると原則取消し不可だが、相手が知っていた等の例外もある |
| 96条・詐欺/強迫 | 詐欺・強迫による意思表示は取り消し得る。第三者による詐欺は、相手が知り又は知り得たことが必要 | 誰が何を言い、どの事実に欺かれ/どの害を恐れて提出したか。退職勧奨があっただけで強迫とは断定しない |
| 93条・心裡留保 | 本心でないと知ってした意思表示も原則有効。ただし相手が真意でないと知り又は知り得たときは無効 | 「引き止めてほしかった」という内心だけでなく、会社側がそれを知り得た事情を示す |
| 126条・取消権の期間 | 追認できる時から5年間行使しないと時効で消滅。行為の時から20年を経過した場合も同様 | 「退職届を出してから5年」と一律に数えない。起算点・追認の有無も含め、早めに専門家へ確認する |
現在の95条の錯誤は「無効」ではなく「取消し」の規定です。 法務省の新旧対照条文でこの変更を確認しました。法務省の施行日案内によると、この改正は一部の規定を除き2020年4月1日施行です。改正前の説明や古い裁判例を現在の条文と混同しないでください。施行前の意思表示は適用法・経過措置も確認が必要です。
取消しの主張を送れば会社の退職処理が自動的に止まるわけではありません。また95条・96条には第三者との関係の規定もあります。証拠と時系列をそろえ、会社との調整や必要な法的手続きを相談してください。
撤回を断られたら、次はどこへ相談する?
提出文面と時系列を持って、総合労働相談コーナーや弁護士へ相談します。 会社が応じない理由が「合意済み」なのか「もう手続した」なのかも記録してください。
相談用メモは「提出日時/伝えた内容/受け取った相手/承諾の有無・日時/撤回を伝えた日時」の5項目で足ります。解決が確定する前に、自分の判断だけで欠勤したり会社の退職処理が止まったと考えたりせず、翌日以降の勤務の扱いも確認します。
総合労働相談コーナーは、労働問題を無料で受け付け、必要に応じて紛争解決制度や他の窓口を案内しています。退職を取りやめたい相談では、退職代行の申込みを次の一手にする必要はありません。
参考にした公的情報
本記事では、制度・法令に関わる説明について以下の一次情報を参照しています。個別の判断が必要な場合は、各窓口または専門家へ確認してください。
- 厚生労働省:退職願の撤回Q&A 辞職の到達・合意退職の承諾と撤回の可否。
- 民法93条・95条・96条・97条・126条 心裡留保、錯誤、詐欺・強迫、到達、取消権の期間。2026年10月9日取得確認。
- 法務省:債権法改正・施行期日 2020年4月1日の改正施行。
- 法務省:新旧対照条文 95条の無効から取消しへの変更。
- 全国労働基準関係団体連合会:大隈鉄工所事件 最高裁1987年9月18日・昭和57年(オ)327号。権限ある人による受理と承諾。
- 厚生労働省:退職、解雇、雇止めなど 退職の文面・当事者の言動による判断。
- 広島県:強要された退職願を撤回したい 強迫に当たる場合の取消しと労働相談。
- 厚生労働省:総合労働相談コーナー 無料の労働相談と助言・あっせん等の案内。
よくある質問
Q.退職日より前ならいつでも撤回できますか?
Q.退職願を上司に渡しただけなら撤回できますか?
Q.口頭で辞めると言った場合も撤回の手続が要りますか?
Q.会社が承諾済みだと言う場合はどうしますか?
Q.強く迫られて出した退職届は取り消せますか?
まとめ
合意退職の申込みは原則として会社の承諾前なら撤回できます。一方、辞職の通知が会社に到達した後や合意成立後は会社の同意が必要です。表題だけで判断せず、提出文面と回答を確認し、撤回の意思を速やかに記録に残してください。
GUIDE 02 / 退職届・有給・提出時期
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次の一手
退職代行を検討するときの相談先
紹介する順番には、提携先(広告)を優先する場合があります。対応範囲と必要な手続きを確認して選びます。編集方針
労働組合型
退職代行ガーディアン
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支払い総額19,800円(加入費・組合費)。公式には組合費に消費税はかからず、表示額以外の税は加算されないと記載。
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